コラム

バイクで道の駅スタンプラリーを全国制覇した話 — 7年と9冊のスタンプブック

全国9ブロックの道の駅スタンプラリーをすべて完走すると、全国「道の駅」連絡会から制覇の表彰を受けられます。表彰された人は通算481名。私はその一人です。かかった時間はおよそ7年、スタンプブックは9冊。移動手段はほぼすべてバイクでしたが、限られた休みで道の駅をめぐるために、飛行機で現地まで飛んで、そこからレンタルバイクを借りたこともあります。

この記事は攻略情報ではなく、ただの記録です。全国制覇がどういう趣味なのか、雰囲気だけでも伝わればうれしい。

先に、お金の話

泊まりがけの遠征は1回(5〜10日)で3,000〜5,000km走り、ガソリン代と高速代で10万円ほどかかっていました。宿代、フェリー代、離島の飛行機代も足すと、7年間の総額は200万円を超えていると思います。決して安い趣味だとは言えませんが、月々に均せば、なんとか続けられる趣味ではありました。

始まりは静岡の1冊 — なのに買えなかった

実は、1冊目からつまずいています。当時住んでいた静岡の道の駅 風のマルシェ御前崎で始めようとしたら、スタンプブックが売り切れで買えませんでした。結局、後日郵送してもらってようやくスタート。「スタンプブックは売り切れることがある」というのは、私が初日に学んだ最初の教訓です。

そんな出だしでしたが、全国制覇なんて考えてもいなくて、休日に近場の道の駅をちょっと回るだけのつもりだった。ところが、ページにスタンプが埋まっていく感覚が思いのほか気持ちいいんですね。空欄が残っていると、埋めたくなる。中部ブロックを完走するころには、隣のブロックのスタンプブックのことを考えていました。

北海道 — まとまった時間の使い方

そうやって隣のブロックへ進んでいくと、週末の積み重ねが通用しない相手が現れます。北海道です。100駅以上が広大な土地に散らばっていて、日帰りではどうにもならない。私は転職の合間の夏休みを使って、一気に回りました。誰にでも使える手ではないのは分かっていますが、「まとまった時間をどこかで作らないと北海道は終わらない」のは間違いないです。

北海道では忘れられない失敗をしています。宗谷岬へ向かう道中、あまりにテンションが上がりすぎて、バイクから降りるときに左足首を思いっきり挫きました。足はパンパンに腫れていて、これはいけないと思い、ドラッグストアでテーピングを買って巻いて、そのままツーリングを続けました。全行程を終えてから病院に行ったら、診断は靱帯損傷。完治まで3ヶ月。旅先のテンションは判断を狂わせます。上げすぎには気をつけてください。

京都で柿をもらった話

7年も道の駅を巡っていると、いろいろな場面に居合わせます。京都の道の駅では、駐車場で当て逃げを目撃しました。戻ってきた持ち主に伝えて、警察への通報を勧め、撮ってあった写真を提供しました。

そのお礼にと、柿をたくさんいただきました。ありがたい。本当にありがたいのですが、こちらはバイクで連泊ツーリングの途中です。積む場所がない。柿は潰れる。あのときの「うれしいのに困る」という感情は、バイク乗りにしか分からないと思います。柿は無事に持ち帰り、後日、柿ジャムにしておいしくいただきました。

いちばん手強かったのは離島

全国制覇の道のりで、いちばん手強かったのは離島です。本土と橋でつながっていない島の道の駅は、全国に17駅あります。沖縄本島に10駅、五島列島・奄美大島・徳之島に1駅ずつ、小豆島に3駅、そして佐渡島に1駅。ここだけはバイクの走力もルートの工夫も通用せず、交通手段と費用の勝負になります。

沖縄へは飛行機で飛びました。五島列島は、長崎を回るついでに寄るつもりが島内の移動手段を確保できず、一度あきらめて、後日あらためて飛行機で行き直しました。往復5万円以上。私にとって「一番単価の高い道の駅」です。島ごとの行き方は離島攻略の記事にまとめました。

最後のブロック、そして全国制覇の申請

私の場合、最後のブロックは東北でした。180駅を、GWや夏休みなどの長期休暇のたびに数回に分けて回りました。最後のスタンプを押した瞬間は、意外なほどあっさりしていたのを覚えています。

実感が来たのはむしろ申請のときです。全国制覇の表彰申請には各ブロックの取り組み期間を書く必要があり、9冊のスタンプブックを開いて押印日を確認していきました。1冊目の最初のページの日付から、9冊目の最後の日付まで。私はスタンプを押すたびに日付を書き込む習慣にしていたので、申請作業そのものは簡単でしたが、日付を目で追ううちに7年分の行程が順番によみがえってきて、手が止まりました。この瞬間のために日付を書いてきたのかもしれません。

後日、認定証と記念ステッカー3種が届き、公式サイトに名前が載りました。

7年は9冊に残る

手元に残ったのは、認定証と、スタンプで埋まった9冊のスタンプブックです。物としてはそれだけ。でもブックを開けば、どの週末にどこを走ったかが日付ごとに全部残っています。旅の記録としてこれ以上のものを私は持っていません。

これから始めてみようという人は、まず始め方の記事からどうぞ。1冊目は300〜550円で買えます。そして7年間ずっと悩まされた「営業時間と定休日との戦い」を自動化するために、私はみちルートというルート作成サービスを作りました。あなたの1冊目が埋まっていく速度を、少しだけ上げられるはずです。